【退職代行の業者は免許持ってるの？】業者選びの5つの基準と注意点

退職を考えたとき
「直接伝えるのが怖い」
「上司との関係が悪い」
「すぐに辞めたい」
など、さまざまな理由で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんなとき頼りになるのが「退職代行サービス」です。

近年、退職代行サービスの利用者は急増しており、多くの業者が参入しています。

しかし
「退職代行に必要な免許はあるの？」
「違法じゃないの？」
「安全に利用できる業者の選び方は？」
など、疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、退職代行サービスの基本から免許（資格）の有無、安全な利用方法まで、誰にでもわかりやすく解説します。
退職を考えている方はもちろん、将来のために知識を得ておきたい方も、ぜひ参考にしてください。

退職代行サービスとは何か

退職代行サービスとは、あなたに代わって会社に退職の意思を伝えてくれるサービスです。

「退職したいけど言い出せない」
「上司との関係が悪く直接話すのが怖い」
といった悩みを抱える人のために、第三者があなたの代理となって退職の意思を伝えてくれます。

退職代行サービスを利用すれば、あなたは会社に行かなくても退職手続きが進められるというのが最大のメリットです。
特に精神的に追い詰められている方や、パワハラなどの問題を抱えている職場環境では、大きな助けとなるでしょう。

なぜ今、退職代行サービスの利用者が増えているのでしょうか？
その背景には以下のような理由があります。

特に最近では新型コロナウイルスの影響で働き方や価値観が変化し「今の仕事が自分に合っているのか」と再考する人が増えています。
また、パワハラ防止法の施行など、労働者の権利意識が高まっていることも、退職代行サービスの需要拡大につながっているといえるでしょう。

退職代行サービスは今や珍しいものではなく、多くの人が利用する一般的なサービスになりつつあります。
しかし、そのサービス内容や運営元によって安全性や信頼性は大きく異なります。

退職代行と免許（資格）の関係

「退職代行をするには何か特別な免許や資格が必要なの？」
と疑問に思う方も多いでしょう。

結論から言うと、退職代行サービスを提供するために法律で定められた特別な免許や資格は存在しません。
そのため、原則として誰でも退職代行業を始めることができます。

しかし、これには重要な注意点があります。
退職代行サービスで「何ができるか」によって、必要な資格が変わってくるのです。

退職代行サービスでは、「退職の意思を伝えるだけ」であれば誰でも行えますが、会社との交渉や法的手続きを代行するには弁護士資格が必要です。

退職代行業者は、主に以下の3種類に分類されます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

■弁護士が運営する退職代行サービス
弁護士が運営する退職代行サービスは、退職の意思伝達だけでなく、退職金や残業代の請求、各種交渉なども代行できます。
弁護士法で認められた「代理行為」が可能なため、サービスの幅が広いのが特徴です。

■労働組合が運営する退職代行サービス
労働組合も交渉が可能ですが、その対象は組合員の労働条件に関する事項に限られます。
労働組合法に基づき、労働者の権利を守る立場から退職代行サービスを提供しています。

■一般企業が運営する退職代行サービス
特別な資格を持たない一般企業が運営する退職代行サービスは「退職の意思を伝える」という基本的なサービスのみを提供できます。
会社との交渉や法的手続きの代行はできず、それを行うと「非弁行為」として弁護士法違反になる可能性があります。

退職代行に免許は必要なの？

退職の意思を伝えるだけなら特別な免許は必要ありません。
しかし、会社との交渉や法的手続きを代行するには弁護士資格が必要です。
「退職代行」という行為自体に特別な免許制度はないため、サービス内容を理解して適切な業者を選ぶことが重要です。

あなたの退職をスムーズに進めるためには、自分が求めるサービス内容に応じて、適切な退職代行サービスを選ぶことが大切です。
例えば、単に退職の意思を伝えてほしいだけなら一般企業の退職代行でも十分ですが、退職金の交渉や残業代請求も一緒に行いたいなら、弁護士が運営するサービスを選ぶべきでしょう。

退職代行は違法なのか

「退職代行サービスを利用するのは違法じゃないの？」
と心配する方も多いでしょう。

結論から言うと、退職代行サービスを利用すること自体は違法ではありません。
退職は労働者の権利であり、その意思を誰かに代わって伝えてもらうことは法律で禁止されていないのです。

しかし、退職代行業者が提供するサービス内容によっては、違法になる場合があります。特に問題となるのが「非弁行為」と呼ばれるものです。

■非弁行為（弁護士法違反）とは
非弁行為とは、弁護士資格を持たない人が弁護士の業務を行うことで、弁護士法で禁止されています。

弁護士でない人が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことや、法律事務の代理を行うことは「非弁行為」として禁止されています。

退職代行サービスが非弁行為に当たるかどうかは、以下のポイントで判断されます。

一方で、単に「退職の意思を伝える」だけであれば、非弁行為には当たりません。
これは事実行為であり、法律事務ではないと考えられているからです。

■違法にならない退職代行サービスの見分け方
合法的な退職代行サービスを選ぶためには、次のポイントを確認しましょう。
・サービス内容の確認：「退職の意思を伝えるだけ」と明確に記載されているか
・運営元の確認：弁護士が運営しているか、または顧問弁護士がいるか
・非弁行為の有無：会社との交渉を請け負うと明示しているなら弁護士資格があるか

会社が退職を認めないのは違法？

民法では労働者には「退職の自由」が保障されています。
正社員（無期雇用）の場合、2週間前に申し出れば原則として退職できます。
会社が退職を認めないことは労働者の権利を侵害する行為であり、退職代行サービスを利用して辞める理由があるといえるでしょう。
なお、有期雇用の場合は契約期間中の退職に関して制限がある場合があります。

退職代行サービスと聞くと「逃げ」や「バックレ」のようなネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
労働者には退職の権利があり、その意思を伝える方法として退職代行サービスを利用することは正当な選択肢の一つといえます。

むしろ問題なのは、残業代を払わない、有給休暇を取得させない、退職を認めないといった企業側の違法行為です。
あなたの権利を守るためにも、適切なサービスを選んで退職の意思を伝えることは大切です。

退職代行サービスの種類と特徴

前章で触れたように、退職代行サービスは運営元によって3つのタイプに分けられます。
それぞれの特徴やサービス内容、費用などを詳しく見ていきましょう。

弁護士が運営する退職代行サービス

弁護士が運営する退職代行サービスは、最も安全で幅広いサービスを提供できる選択肢です。
弁護士法に基づいて活動しているため、会社との交渉や法的手続きも代行可能です。

ただし、弁護士による退職代行は費用が高めで、一般的に5〜10万円程度かかります。
しかし、残業代請求などを同時に行う場合は、その費用対効果は非常に高いといえるでしょう。

労働組合が運営する退職代行サービス

労働組合が運営する退職代行サービスは、組合員の労働条件について会社と交渉する権利を持っています。
労働組合法に基づく正当な活動として、退職代行だけでなく、ある程度の交渉も可能です。

労働組合による退職代行は、組合に加入することで利用できます。
加入費と月会費を支払うことで、退職の意思伝達だけでなく、未払い賃金や有給休暇の取得など基本的な交渉も行えます。

費用は一般的に2〜5万円程度で、弁護士よりも安い傾向にあります。
ただし、弁護士のように広範囲の法的サービスは提供できません。

また、組合によってはサービス内容や対応の質にばらつきがあることも知っておきましょう。

一般企業が運営する退職代行サービス

資格を持たない一般企業が運営する退職代行サービスは「退職の意思を伝える」という基本的なサービスのみを提供します。
料金は1〜3万円程度と最も安価で、シンプルな退職手続きを望む人に適しています。

一般企業の退職代行サービスを選ぶ際は、非弁行為を行っていないか確認することが重要です。
「交渉します」「請求代行します」といった表現がウェブサイトにある場合は注意が必要です。

退職代行を選ぶポイントは？

自分の状況に合ったサービスを選びましょう。
単純に退職したいだけなら一般企業のサービスでも十分ですが、退職金や残業代の請求、会社とのトラブルがある場合は弁護士のサービスが安心です。
また、退職後のサポートが必要なら、アフターフォローが充実しているサービスを選ぶといいでしょう。
口コミや評判も参考にして、信頼できる業者を選ぶことをおすすめします。

自分の状況や予算、求めるサービス内容に合わせて、最適な退職代行サービスを選びましょう。

安全に退職代行を利用するための注意点

退職代行サービスを選ぶとき、安全性は最も重要なポイントです。
適切な業者を選ばないと、退職が成功しなかったり、思わぬトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。

ここでは、安心して利用できる退職代行業者を選ぶためのチェックポイントを紹介します。

適法な退職代行業者の選び方

退職代行業者を選ぶときは、料金の安さだけでなく、信頼性や実績を重視しましょう。
以下のポイントをチェックすることで、安全な業者を見分けることができます。

特に気をつけたいのは、「100％成功」「どんなケースでも対応可能」など、過大な宣伝文句を使っている業者です。
退職は基本的に労働者の権利ですが、状況によっては難しいケースもあります。
正直に限界点も説明してくれる業者の方が信頼できるでしょう。

非弁行為を行わない業者の見分け方

弁護士資格のない業者が非弁行為を行っていないかをチェックするポイントは以下の通りです。

非弁行為を行っていない業者は「退職の意思を伝えるだけ」というサービス内容を明確に説明し、会社との交渉や請求代行などを行わないことを明示しています。

以下のような表現がある場合は注意が必要です。
「会社と交渉します」
「退職金や残業代の請求もします」
「有給休暇の取得交渉もできます」
「どんな条件でも退職させます」

弁護士でない業者がこのようなサービスを提供すると、非弁行為として違法になる可能性があります。

契約前に確認すべきポイント

実際に退職代行サービスと契約する前に、以下の点を必ず確認しましょう。

特に「返金保証」は重要です。
万が一退職できなかった場合に全額返金してくれる業者を選ぶと安心です。

また、退職後のサポート（離職票の取得方法など）についても事前に確認しておくといいでしょう。

退職代行業者に渡すべき情報は？

退職代行業者に伝える情報は必要最小限にしましょう。
一般的には「氏名・会社名・部署・退職希望日・上司の連絡先」などが基本です。
個人情報を過剰に求める業者には注意が必要です。
また、本人確認のための身分証明書のコピーを求められることもありますが、必要最小限の情報だけを提供するようにしましょう。

安全な退職代行サービスを選ぶことで、スムーズな退職が可能になります。
不安な点があれば、複数の業者に問い合わせて比較検討することをおすすめします。

大切なのは、自分の状況に合った、信頼できる業者を選ぶことです。

退職代行を利用するメリット・デメリット

退職代行サービスを利用することには、メリットとデメリットの両方があります。
自分の状況に合っているかどうかを判断するために、それぞれのポイントをしっかり理解しておきましょう。

退職代行を利用するメリット

退職代行サービスの最大のメリットは、退職に伴う精神的な負担を大きく軽減できることです。
この他にも様々なメリットがあります。

「退職したいけど言い出せない」と何か月も悩み続けるよりも、退職代行サービスを利用して一気に解決するほうが、精神的にも健康的です。
特に体調を崩しているときや、職場での人間関係に悩んでいるときは、一刻も早く環境を変えることが大切です。

退職代行を利用した方からは「もっと早く利用すればよかった」という声も多く聞かれます。
長い間悩んでいたことが、あっさり解決して肩の荷が下りたという感想が寄せられています。

退職代行を利用するデメリット

一方で、退職代行サービスには以下のようなデメリットもあります。

退職代行を利用すると、円満退職が難しくなり、元の職場への復帰や業界内での評判に影響する可能性があります。
また、費用もかかるため、総合的に判断する必要があります。

退職代行サービスは「突然退職」の印象を与えがちです。
可能であれば、まずは自分で退職の意思を伝え、それでも難しい場合に退職代行サービスを検討するという段階的なアプローチも一つの選択肢です。

また、業界が狭い分野や転職先が決まっていない場合は、対面での丁寧な退職手続きが将来の選択肢を広げることもあります。

退職代行を使うべきケースは？

以下のような状況では、退職代行サービスの利用が特に有効です。
パワハラやセクハラなどのハラスメントがある職場、退職を言い出せない雰囲気がある会社、退職を伝えたが認めてもらえないケース、体調不良や精神的に追い詰められている状態、すぐに転職先が決まっていて即退職したい場合などです。
あなたの心身の健康を最優先に考え、必要なら躊躇せず利用することも大切です。

実際に「退職代行サービスを使わなければ、あのまま辞められなかったかもしれない」と感じている方は多くいます。
特にパワハラがひどい職場や、精神的に追い詰められている場合は、自分の健康を守るためにも専門家の力を借りることが大切です。
退職代行サービスを利用するかどうかは、自分の状況や価値観を考慮して決めましょう。

退職がスムーズに進めば、新しい一歩を踏み出すエネルギーが生まれます。
次の章では、退職代行と退職金・各種手続きの関係について詳しく解説します。

退職代行と退職金・各種手続きの関係

退職代行サービスを利用した場合、退職金や必要書類の受け取りなど、退職後の手続きについて心配する方も多いでしょう。
ここでは、それらの疑問について解説します。

退職代行を利用しても退職金はもらえるのか

結論から言うと、退職代行サービスを利用しても、本来受け取るべき退職金の権利はなくなりません。
退職金は就業規則や労働契約に基づいて支払われるものであり、退職の方法によって権利が失われるものではありません。

しかし、会社によっては「退職代行を使った＝円満退職ではない」と判断し、退職金の支給を渋るケースもあります。
このような場合に備えて、以下の点に注意しましょう。

特に退職金の金額が大きい場合は、弁護士による退職代行サービスを利用するのが安心です。
弁護士であれば、退職金の請求も含めて対応してもらえます。

退職時に必要な書類と受け取り方

退職時には、いくつかの重要な書類を会社から受け取る必要があります。
退職代行サービスを利用した場合、これらの書類をどう受け取るかも重要なポイントです。

退職時に必要な書類として、「離職票」「年金手帳」「雇用保険被保険者証」「源泉徴収票」「健康保険資格喪失証明書」などがあります。
これらは退職後の手続きや失業給付の受給に必要です。

退職代行サービスを利用した場合、これらの書類の受け取り方法として一般的なのは以下の3つです。
・会社から郵送してもらう
・会社に取りに行ってもらう（弁護士や労働組合の場合）
・第三者に受け取りを委任する

多くの場合、会社からの郵送で対応することになります。
この場合、退職代行業者が会社に対して「必要書類を自宅に郵送してほしい」と伝えてくれます。

退職後の手続きについて

退職後には、健康保険や年金の切り替えなど、いくつかの手続きが必要です。
退職代行サービスの中には、これらのアフターフォローも行ってくれるところがあります。

書類が届かない場合はどうすればいい？

会社から必要な書類が送られてこない場合は、まず退職代行業者に相談しましょう。
弁護士に依頼している場合は、法的手続きで対応してもらえます。
一般企業の退職代行の場合は、ハローワークや労働基準監督署に相談するとよいでしょう。
公的機関からの指導で会社が対応することが多いです。
特に離職票は失業給付に必要なため、早めの対応が重要です。

退職金や書類の問題で会社とトラブルになることもあります。
そのため、退職代行サービスを選ぶ際は、退職後のサポート体制も確認しておくことをおすすめします。
特に弁護士による退職代行サービスであれば、トラブルが発生した際も法的にサポートしてもらえる安心感があります。

退職は人生の新しいスタートです。
必要な手続きをきちんと行い、次のステップに向けて心おだやかに準備できることが理想的です。

まとめ

退職代行サービスは、退職に悩む多くの方にとって心強い味方です。
直接上司に退職を伝える精神的負担から解放され、スムーズに次のステップに進むサポートとなります。

この記事では、退職代行サービスと免許（資格）の関係について詳しく解説してきました。
ポイントをまとめると以下のようになります。

退職代行サービスを利用することは決して「逃げ」ではなく、自分の権利を守るための正当な選択肢の一つです。
パワハラや長時間労働など、不当な労働環境から抜け出すための有効な手段といえるでしょう。

退職代行サービスを選ぶ際は、自分の状況や目的に合ったものを選びましょう。
単に退職の意思を伝えるだけなら一般企業のサービスでも十分ですが、退職金の交渉や残業代の請求も必要なら弁護士のサービスが最適です。

退職は誰にとっても大きな決断です。
しかし、それは同時に新しい可能性への第一歩でもあります。
退職代行サービスを上手に活用して、あなたらしい働き方や生き方を実現してください。
自分の人生を大切にすることは、何よりも重要なことです。

退職代行は「バックレ」ではないの？

退職代行サービスを利用することは「バックレ」とは全く異なります。
退職代行では、きちんと会社に退職の意思を伝え、必要な手続きを進めます。
一方、バックレは何の連絡もなく会社に行かなくなる行為で、法的リスクもあります。
退職代行サービスは、正当な手続きで退職するためのサポートであり、労働者の権利を守るための選択肢の一つです。

最後に、どの退職代行サービスを選ぶにしても、事前にしっかり調査し、口コミや評判を確認することが大切です。
あなたの人生の大切な決断をサポートしてくれる、信頼できるサービスを選びましょう。