【退職代行は本人以外でもOK？】代理手続きで失敗しない5つの秘訣

「会社を辞めたいけど、直接言い出せない…」
と悩んでいる方の強い味方として知られるようになった退職代行サービス。
最近では病気や怪我で自分で退職の意思を伝えられない場合や、家族が代わりに手続きを進めたいというケースも増えています。

「退職代行は本人以外でも利用できるの？」
「家族が代わりに手続きするのは法的に問題ないの？」
と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

また企業側としても
「本人ではない人から退職の連絡があった場合、どう対応すべきか」
という悩みもあるでしょう。

この記事では退職代行における本人以外の関与について、トラブルを避けるためのポイントをわかりやすくお伝えします。
退職は働く人の大切な権利ですが、正しい知識を持つことでスムーズに進めることができます。

ぜひ最後までお読みいただき、あなたや大切な人の退職に役立ててください。

退職代行サービスとは何か

退職代行サービスとは、会社を辞めたい人に代わって退職の意思を伝えるサービスです。
直接上司に退職を伝えるのが難しい場合や、退職を伝えた後の引き止めやパワハラが心配な場合に利用されています。

退職代行サービスを利用すると、本人が会社に行かなくても退職手続きを進めることができます。

このサービスが人気を集める理由は、「退職を言い出せない」という心理的なハードルを下げてくれるからです。
実際に厚生労働省の調査によると、退職の意思を伝えられず悩んでいる労働者は少なくありません。

退職代行サービスには主に3つの種類があります。

民間業者による退職代行は費用が安いメリットがありますが、法律で定められた「非弁行為」（弁護士以外が法律事務を行うこと）の制限があり、退職の意思を伝えるだけで退職条件などの交渉はできません。

一方、弁護士による退職代行では、未払い残業代の請求や退職金の交渉なども行えるため、複雑な事情がある場合に適しています。

でも大切なのは、どの種類の退職代行サービスでも「本人の意思による退職」が前提になっているということ。

退職は労働者の権利であり、会社側は原則として退職を拒否できません。ただし、本人の意思かどうかをしっかり確認する必要があります。

本人以外による退職代行は可能か

「家族が入院中で自分で会社に連絡できない」
「親の退職手続きを子どもが代わりに行いたい」
など、本人以外が退職手続きを行いたいケースは少なくありません。

結論から言うと、本人の明確な意思があり、それを証明できる場合は、本人以外による退職代行も可能です。

ただし、単に「代わりに伝えてほしい」というだけでは不十分で、本人からの正式な委任が必要になります。
退職届の代筆や代理提出が認められるのは、主に以下のようなケースです。

これらのケースで共通するのは「本人の退職したいという意思が明確であること」です。

つまり、本人の意思なく家族や友人が勝手に退職手続きを進めるのは認められません。

本人以外が退職代行を利用するときに必要なものは？

本人の意思を証明する委任状が最も重要です。
また本人確認書類（免許証やマイナンバーカードのコピーなど）も求められることがあります。
委任状には退職の意思、委任する相手、日付、本人の署名などを明記します。

特に重要なのが「委任状」です。
委任状は「本人が誰に何を委任したか」を証明する重要な書類で、これがないと会社側は「本当に本人の意思なのか」と疑問を持ちます。

委任状には以下の内容を必ず記載しましょう。

委任状があれば、家族や友人が退職代行サービスを利用して退職手続きを進めることも可能です。

委任状は手書きでも問題ありませんが、記載内容に漏れがないよう注意しましょう。
特に代理人の連絡先は必須です。また、委任状のコピーではなく原本を提出することが望ましいです。

ただし注意したいのは、家族や友人が直接会社と交渉することは難しい場合もあるということ。
特に未払い残業代の請求や退職条件の交渉となると、専門知識が必要になります。
そのような場合は、委任状を持って弁護士による退職代行サービスを利用するのが安心です。

第三者による無断退職代行のリスクと問題点

「上司が嫌いだから同僚の退職を代わりに申し出てあげよう」
「休職中の人を会社から追い出したい」
など、本人の意思なく第三者が退職代行を利用することは絶対にやめましょう。

本人の意思なく退職代行を利用することは、深刻な法的問題を引き起こす可能性があります。

なぜこれが問題なのかというと、退職は労働契約を終了させる重要な法律行為だからです。
本人の意思に基づかない退職は無効となるだけでなく、虚偽の申告をした第三者は「名誉毀損」「業務妨害」「詐欺」などの罪に問われる可能性があります。

具体的にどんなリスクがあるのか見てみましょう。

例えば、あなたが同僚の退職を勝手に申し出た場合、その同僚は突然「退職した」という状態になり、収入が途絶えるだけでなく、社会的信用も失うことになります。

なぜ退職代行業者は本人確認を厳格に行うの？

退職代行業者も本人の意思を確認せずにサービスを提供すると、法的責任を問われる可能性があります。
そのため、多くの退職代行業者は本人確認書類の提出や、直接本人と話す機会を設けるなど、厳格な本人確認を行っています。

信頼できる退職代行業者は必ず「本人の意思確認」と「本人確認書類の提出」を求めます。
これは業者自身を守るためでもありますが、同時に依頼者と会社の双方を守ることにもつながります。

退職代行サービスを選ぶ際は、本人確認の方法を明確に説明している業者を選びましょう。
「身分証明書不要」などと宣伝している業者は避けるべきです。

逆に、本人確認をしっかり行う退職代行業者は、第三者による無断利用を防ぐことができます。
これは企業側にとっても、従業員本人にとっても安心材料となります。

本人確認の方法として一般的なのは、以下のようなものです。

冒頭でお伝えしたように、退職は労働者の権利です。
ただ、その権利行使は本人自身が行うか、正式に委任された代理人が行うべきものです。
他人の人生に大きな影響を与える決断を、無断で行うことは許されません。

会社側の退職代行への対応

企業側が退職代行からの連絡を受けた場合、特に本人以外からの連絡だと「本当に従業員の意思なのか」と不安になるでしょう。
会社側が退職代行への対応を誤ると、後々トラブルになるリスクがあります。

では、会社としてはどのように対応すべきなのでしょうか。
まず重要なのは、退職代行業者の資格や立場を確認することです。
前述のように退職代行サービスには弁護士、労働組合、民間業者の3種類があり、それぞれ法的な権限が異なります。

特に「本人以外」が関わる退職代行の場合、本人の意思確認は慎重に行う必要があります。

従業員本人の意思を確認するには？

委任状や本人確認書類の提出を求めましょう。
可能であれば、電話やメールで直接本人と連絡を取ることも検討してください。
ただし、しつこく連絡を取ることはハラスメントとみなされる可能性があるため注意が必要です。

本人の意思を確認できたら、退職手続きを進めていきます。

具体的な流れは以下のようになります。

退職代行業者と会社の間でトラブルになりやすいのは「退職日」です。
民法では「2週間前の申し出で退職できる」とされていますが、就業規則で「1ヶ月前」などと定められている場合もあります。
法的には民法が優先されますが、円滑な引き継ぎのためにも双方で調整することが望ましいでしょう。

注意すべき点として、民間の退職代行業者とは「交渉」をしないことが挙げられます。
これは「非弁行為」（弁護士資格のない者による法律事務）に該当する可能性があるためです。

一方、弁護士や労働組合が行う退職代行の場合は、退職条件についての交渉も可能です。

会社側は退職代行の連絡を無視したり、退職を拒否したりすることは避けるべきです。

退職は労働者の権利であり、会社が拒否し続けると「退職妨害」として法的責任を問われる可能性があります。
たとえ本人以外からの連絡であっても、本人の意思が確認できれば粛々と手続きを進めることがトラブル回避につながります。

正しい退職代行サービスの利用と注意点

退職代行サービスを利用する際、特に本人以外が手続きを進める場合は慎重さが求められます。
信頼できる退職代行サービスを選ぶことが、トラブルのない円満退職への第一歩です。

では、どのように退職代行サービスを選べばよいのでしょうか。

まず、退職代行サービスを選ぶ際のポイントを見ていきましょう。

特に本人以外が手続きを進める場合は、本人確認の方法について詳しく説明している業者を選ぶことが大切です。
業者のウェブサイトやお問い合わせで「本人以外からの依頼の場合の手続き」について確認しておきましょう。

退職代行を家族に頼む場合、何を準備すればいい？

まずは本人の意思を示す委任状を作成しましょう。
また、本人の身分証明書のコピーも必要です。
さらに、業者によっては本人が退職の意思を表明している動画や音声の提出を求められることもあります。
これらの準備をしっかり行うことで、スムーズに手続きを進めることができます。

委任状の作成は特に重要ですが、作成時にはいくつか注意点があります。

委任状のひな形やテンプレートは多くの退職代行サービスが提供しているので、それらを参考にするとよいでしょう。

委任状は手書きでも問題ありませんが、読みやすく丁寧に書くことが大切です。
署名は必ず本人が行い、氏名の記載だけでなく捺印も忘れないようにしましょう。

また、トラブルを避けるための対策としては、以下のポイントを押さえることが重要です。

特に本人が入院中や海外にいるなど、すぐに対応できない状況では、会社からの連絡をどうするかを事前に決めておくことが大切です。
「すべて代理人が対応する」のか、「特定の事項は本人に直接連絡してほしい」のかなど、明確にしておきましょう。

退職代行サービスは「退職の意思伝達」が主な役割であり、その後の手続きまですべて対応してくれるわけではありません。

退職後の健康保険や年金の手続き、失業給付の申請などは自分で行う必要があることを理解しておきましょう。
退職代行サービスを利用すれば、煩わしい退職の伝達や引き止めからは解放されますが、すべての問題が解決するわけではありません。

本人と代理人がしっかり連携し、必要な手続きを計画的に進めることが大切です。

よくある質問と回答

退職代行サービスを本人以外が利用する場合、さまざまな疑問が生じるでしょう。
ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
退職代行に関する不安や疑問を解消し、スムーズな退職につなげましょう。

病気や事故で退職手続きができない場合はどうすればいい？

病気や事故で本人が退職手続きを行えない場合、家族など近親者が代理で手続きを進めることは可能です。
重要なのは本人の意思を証明できる委任状です。
本人が意識不明など委任状が作成できない状態の場合は、医師の診断書と家族関係を証明する書類（戸籍謄本など）を準備し、会社の人事部門に相談するのがよいでしょう。

緊急時には状況説明を丁寧に行い、会社側との協力関係を築くことが大切です。
多くの企業は従業員や家族が困難な状況にある場合、柔軟に対応してくれます。

なお、後々のトラブルを避けるためにも、可能な限り会社とのやりとりは文書や記録に残しておくことをおすすめします。

家族が代わりに退職手続きをする方法は？

家族が代わりに退職手続きを行う場合、基本的な流れは以下のとおりです。

家族が直接会社と交渉するのが難しい場合は、退職代行サービスを利用するのも一つの選択肢です。
その場合も委任状が必要になりますが、専門家が間に入ることでスムーズに進むことが多いです。

退職代行を利用する前に家族ができることは？

まずは退職する本人の希望をしっかり確認しましょう。
退職の理由、希望する退職日、退職後の計画などを整理しておくことが大切です。
また、会社の就業規則や雇用契約書を確認し、退職に関するルールを把握しておくことも重要です。
これらの情報をもとに、退職代行サービスに相談するとスムーズに進みます。

退職代行を利用する際の身元確認について

退職代行サービスを利用する際、本人確認は厳格に行われます。
これは業者が法的リスクを回避するためだけでなく、依頼者を守るためでもあります。

一般的な身元確認の方法としては、以下のようなものがあります。

身元確認が厳格なサービスほど、信頼性の高い退職代行サービスと言えます。
逆に、身元確認を簡素化しているサービスは、本人になりすました退職や、悪意のある第三者による退職のリスクがあります。

身元確認書類を提出する際は、必要な情報以外は隠すなど、個人情報保護に配慮することも大切です。
また、退職代行業者のプライバシーポリシーを確認し、個人情報の取り扱いについて理解しておきましょう。

退職後の手続きは代行してもらえるの？

多くの退職代行サービスは「退職の意思表示」のみを代行し、退職後の手続き（健康保険の切り替えや失業給付の申請など）までは対応していません。
これらの手続きは本人または家族が行う必要があります。

ただし、弁護士による退職代行サービスの中には、追加料金で各種手続きのサポートを行っているところもあります。

退職後の手続きで主に必要なものは以下のとおりです。

これらの手続きは期限があるものも多いので、計画的に進めることが大切です。
退職代行サービスを利用する際は、どこまでのサポートが含まれているのか事前に確認しておくとよいでしょう。

まとめ

退職代行サービスは、直接退職を伝えにくい状況下で大きな助けになりますが、本人以外が関わる場合は特に注意が必要です。
この記事では、退職代行における「本人以外」の関与について詳しく解説してきました。

退職は労働者の権利ですが、その行使には適切な手続きが必要です。

ここでポイントをおさらいしておきましょう。

病気や怪我など、やむを得ない事情で本人が退職手続きを行えない場合、家族や友人が代わりに手続きを進めることは可能です。
しかし、その際は必ず本人の意思を尊重し、委任状など必要な書類を準備することが大切です。

一方、企業側も退職代行からの連絡に対して、適切な対応が求められます。
本人の意思確認を行いつつも、退職は原則として認める必要があります。

退職代行サービスを選ぶ際は、料金の安さだけでなく、サポート内容や身元確認の方法、アフターフォローなども含めて総合的に判断しましょう。
特に弁護士が関与しているサービスは、交渉やトラブル対応の面で安心感があります。

退職は新たなスタートの第一歩です。

正しい知識と手続きで、円満な退職と次のステップへの準備を整えていきましょう。

退職代行を利用する前に確認すべきことは？

まずは自分（または退職希望者）の状況を整理しましょう。
雇用契約書や就業規則の確認、未払い残業代の有無、退職金の条件、有給休暇の残日数などを把握しておくことが大切です。
これらの情報をもとに、自分に合った退職代行サービスを選ぶことができます。

退職という人生の重要な節目を、適切な方法で乗り越えることができれば、新しい人生のスタートもスムーズになるはずです。

この記事が、あなたや大切な人の退職に役立つことを願っています。